※新組織改編前に作成した記事です

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計算機とネットワークを使って情報分析

Kenichi Yoshida
吉田 健一 教授

 「ビッグデータ」やら「深層学習」やら、情報技術関連のバズワードを耳にする機会が増えているように感じています。インターネットから膨大な情報を集め、深層学習などの人工知能技術を使って分析すると、ビジネスにとって有益な情報が次々得られる、と言う話が広まっている事が背景にあるのだと思います。
迷信だと思います。物事そんなに簡単に行くなら苦労しません。

 「深層学習に囲碁の名人が負けた。だから、近未来に人工知能が進化してシンギュラリティを迎え人は不要になる」。かなり飛躍があります。『オメガ因子』の作り方はまだ検討もついていないと思います。今の技術の延長では、せいぜい大学教授が失業するくらいで、小学校の先生は安泰です。

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 肝心なのは情報技術でできる事、できない事をきちんと把握して、適宜使えるものを使いこなしていく能力だと思います。使えるものを使いこなすには、情報技術について理解している事が必要です。GSSMで私はそのお手伝いをするため、「データマイニング」と「インターネットとビジネス情報分析」などの講義を担当しています。

 例えばデータマイニングの講義では深層学習の基本であるニューラルネットについて「役にたちそうもないでしょう?」と言う話をしています。インターネットについても若干のプログラミング能力がなければ必要な情報を取り出せません。エクセルのファイルで入手できるデータは他の人がとっくに使っていますので、後追いしても無駄です。逆に他の人がまだ目をつけていないデータをニューラルネットに処理できる形に取り出せれば、ビジネスにとって有益な情報が得られるかもしれません。

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 残念ながら万能の情報技術など無いので個々の問題によって取るべきアプローチは違います。深層学習が良い時もありますし、SVMやらdecision treeやらが良い時もあります。

 研究室の学生さんもそれぞれ違った事をされています。ネットワークのデータを分析するためにFPGAのハードウェア回路を作成した学生さんもいれば、株式市場の分析されている学生さんもいます。ポケモンGOの使っているクラウド技術の話が財務諸表の話で終わる事もあれば、株式市場の分析の話にnetwork time protocolといった技術の話が出てくる事もあります。学生さんの持ってくる話題は多岐に渡りついていくのが大変ですが、私としては新しい事を学ぶチャンスですので、楽しんで相手させていただいています。

 最後に学生さんに期待する事を1つだけ。「社会人学生は仕事との両立が大変です。思った以上に時間がかかります。覚悟した上でお出でいただければ歓迎させていただきます」。勿論「深層学習/SVMってどんな技術?」「インターネットって何?」程度の解説はさせていただきます。いっしょに新しいことを学んでみませんか。

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