※新組織改編前に作成した記事です

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志田 剛さん

  • SAS Institute Japan
  • 企業科学専攻 システムズ・マネジメントコース

Q.入学の動機を教えてください。
A. 私の場合、より実践に役立つ研究がしたいことが一番の理由でした。業務ではIT分野でのプロジェクトマネジメントの経験が長く、多くのプロジェクトを経験してきました。その経験を今後、ビジネスに活かせるような研究がないかということに興味を持っていました。また、業務でデータ分析もしているのですが、データ分析では、なぜその結果が導出されたのか、結果へのプロセスがブラックボックスになることもありました。そこで統計学や機械学習、深層学習など数式レベルから再度より深く学びたいと思ったからです。
Q.他の大学院ではなく、GSSMを選んだ理由を教えてください。
A. 私の場合は他校とは特に比較しませんでした。ビジネススクール自体、色々あるのは知っていましたが、ビジネスだけでなくアカデミックな大学院を選びたくて筑波大学を選択しました。GSSMは、統計学や機械学習、深層学習など数式レベルから、ビジネスで利用できる最新の技術まで幅広くカバーが出来る大学院だと思います。また、大学時代は工学部で主に信頼性工学など工学系をメインで学んでいたのですが、情報系に強い大学院というのもGSSMを選んだ理由の1つです。
Q.オープンキャンパスは参加されましたか?
A. はい、修士課程入学前に参加しました。オープンキャンパスには、多くの方々が参加されていたのでまずはそれに驚きましたが、模擬授業を受けてみて、おもしろい大学だなと感じ、GSSMに興味を持ちました。また、その中でGSSMの卒業生に対して質問も出来るのですが、そのお話の中で在学中に苦労されたことなどもお話されていましたが、それを聞いても、自分も通えるかなと自信が持てました。

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Q.ふだんのお仕事内容について教えてください。
A. 所属する会社は外資系ソフトウェア企業で、ビッグデータ解析やマーケティング分析、リスク管理など多くの分析ソリューションを提供している会社です。部署はコンサルティング事業部で自社製品のライセンス販売や製品を導入するためのコンサルティング業務、お客様の資産データを使い、統計モデルの作成やデータ分析業務を行っています。
Q.GSSMではどのような研究をされたのですか?
A. 研究内容は「ソフトウェア見積もり工数に影響を与える因子に関する研究」になります。修士の時から一貫して同じ研究を進めてきました。ソフトウェアの見積もりの研究は歴史が深く多くの研究が存在するのですが、私が携わった多業種のプロジェクトの中で、ソフトウェア見積もりを発注企業へ提示してもなかなか理解してもらえず、どのようにしたら発注企業に納得して頂けるのかという課題がありました。そこで、多業種からアンケートしたソフトウェア見積もりデータを使い、なぜ業種ごとでソフトウェア見積もり工数に差異があるのかなど、業種ごとに生産性変動要因を使い、それぞれ業種ごとの特徴や因子など統計手法を用いて研究しました。
研究室は津田先生です。津田先生は自然言語処理を専門としている先生ですが、ソフトウェア工学の分野も担当しています。以前、過去のソフトウェア見積もりに関する論文を拝見させて頂き、研究内容に興味があったので、この先生だと思いお世話になろうと思いました。
Q.修士課程修了後に博士に進もうと思った理由をお聞かせください。
A. 修士の時から博士課程に進もうか考えていました。その当時、博士課程の先輩方や、津田ゼミOBで現在は他大学で活躍されている先生方から、多くのアドバイス頂きました。博士を取ることはハードルも高いだろうし不安もありましたが、津田先生がずっとフォローして下さっていたので、博士課程へ進学を決めました。また、津田先生は多くの博士を輩出されてきた先生ですので、そういう先生とならば自分にも出来るかなと思えたのも理由の1つです。
Q.修士課程と博士課程の大きな違いはどんなところですか?
A. 私自身、修士で出した論文と、博士で出した論文ではレベルが全然違います。博士課程ではやはり、論文をジャーナルに採録されるというところで一番苦労しました。ジャーナルの査読者たちからの質問や意見に全て回答していく、ということを繰り返しました。それは修士ではほとんど無い経験でしたね。ジャーナルに掲載してもらうまでには本当に苦労しました。
それから、国際会議には毎年出ていました。最初に国際会議に出たのは修士課程の二年目でしたが、博士課程に進んでからは毎年参加しました。海外で発表するということは緊張もしましたし、抵抗もありましたが、こういう経験が出来たというのも本当に良かったと思っています。この経験は仕事ではなかなか経験出来ないので、自分にとっての本当に良い刺激になりました。

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Q.研究をどう実際のビジネスに役立てたいとお考えですか?
A. ITベンダは、プロジェクトが開始される前には必ずIT発注企業からソフトウェア見積もりを依頼されます。IT発注企業は、金融業や製造業、サービス業などさまざまな業種があります。ITベンダはそのIT発注企業からソフトウェア見積もりを依頼され、それぞれの企業の特徴によって見積もり工数も異なってきます。研究では、そういった企業ごとの特徴を抽出することが出来たので、今後はそれらをビジネスに生かしていければと考えています。
また、研究の中で、統計学や機械学習など学習しながら研究を進めてきました。機械学習やAI分野の場合、日進月歩の速さで新しい技術が研究され、論文が発表されています。私自身、最新の論文に目を通すことは博士課程で身についた非常に大きな強みでメリットであったと思います。今後は最新の論文から得られる最新の技術をどんどんビジネスに取り込み、お客様によりよいサービスを提供できるよう、学んだ知識をビジネスの中で広げていきたいと考えています。
また、私自身、今後も引き続き研究を続けて論文を書き続けて行こうと思っています。津田ゼミには多くの研究生もいますので、修士や博士を取得しようとしている方々の手助けをしていき、ゆくゆくはアカデミックな方向に進み、大学の教員の道へも進んで行きたいなと少し考えています。
Q.博士課程を修了されたことでの仕事上の変化はありますか?
A. ドクターを取って変わったのは、今まで仕事上で研究職のお客様と話していても、私の発言ではなかなか理解を得られにくいと感じていた部分が、ドクターを取ってからは周りの目線が変わってきたと感じています。周りからの信頼が深くなったのではないかと思い、それが自身に繋がっています。修士課程で学術的な部分を培って研究し、博士課程で研究を更に深めていくことが出来、今に繋がっていると思います。
Q.社会人学生として、仕事・家庭・研究のバランスはどのように取りましたか?
A. 私が大学院に入学する前に次女が生まれたばかりで、大学院への入学を諦めるかどうか迷っていたのですが、私の性格を一番よく理解している妻が最終的に私の背中を押してくれました。ここで行かなかったら私の性格上、ずっと後悔が残るのではないかと思ってくれたのではないかと思います。
学業については、平日は夜遅くまで仕事をしていた為、帰宅してから夜中まで、土曜は朝からゼミに参加し、夜まで大学の図書館で研究を進めました。仕事が忙しい時は、一旦仕事を中断し、大学の授業が終わってから再度会社に戻るという時もありました。ほとんど家族との交流がなくなってしまう為、日曜の午前中は研究、午後からは家族と過ごすように心掛けていました。次第に限られた時間の中で、如何に効率良くこなすかを考えるようになり、大変でしたがとても充実した大学院生活が送れました。
本日は長い時間ありがとうございました。

 

(2019年5月取材)
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