※新組織改編前に作成した記事です

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田口 淳子さん

  • 大鵬薬品工業株式会社
  • 経営システム科学専攻

Q.ふだん、どんなお仕事をされていますか?
A. 内資系の製薬企業でコンプライアンス部と人事部を兼務しています。コンプライアンス部では米国やアジアの子会社と協力してグローバルでのコンプライアンス体制の構築・強化に取り組むと同時に、Due Diligenceなどリスクアセスメントも担当しています。また、人事部では企業内大学の企画・運営を担当しています。
 入社からずっと抗がん剤の基礎研究の現場でシミュレーションによる薬剤候補の設計やデータ解析などをおこなってきましたが、4年前に機会を得て本社に異動しました。
Q.社会人大学院に進もうと思ったきっかけはありましたか?
A. 研究所にいた頃は、ずっと研究に夢中で、パソコンに向かう毎日でした。上司から「君だったらもっと色んなことがやれるはず」「広い世界を見たほうが良い」とおっしゃっていただいて本社に異動しましたが、ずっと理系の頭できたので社会の一般常識も分からなかったですし、文系の頭も無かった。研究所だとそれなりにチームの役に立てていたのに、自分の力の無さを感じることが増えてきて「これは何かしなくては」と思い始めて大学院を調べ始めました。
Q.GSSMを選んだのはなぜですか?
A. ここはかなり理系の色が濃く残っている学校です。大学院を調べた中で、一番マニアックだな、と思いました。オープンキャンパスでお話しした先生から「この学校は入ってしまえば何とかなるから大丈夫だよ」と言われたことも大きかったですね。・・・本当に入ってしまえば何とかなりました。
 ここに入って初めて、自分がこんなに数式が好きなことに気付きました。ファイナンスや統計などの授業が楽しくて仕方なかったです。
Q.大変だったことは有りましたか?
A. 1年目は大変でした。なにしろ知らないことばかりだったので、ほぼ毎日通っていました。課題レポートなども多く、ちょっとパンクしかけていたかもしれません。

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Q.それでも諦めなかったのはなぜですか?
A. 面白かったからだと思います。授業がとにかく面白かった。大人になってから勉強するからこそ、だとおもいます。私の場合は学んだことがすぐ職場で生かせたので、大学で学べば学ぶほど仕事が楽しくなる、というか、「そうか!そういうことだったのか!」という発見することが多く、刺激的なサイクルが続いていました。
 また、職場で生かされるのは学んだ知識だけではありませんでした。例えば、リーダー育成を目的とした若手向けの社内大学の企画・運営を担当していますが、“人を育てる”となるとこちら側もそれなりの知識や自信・・・というか自分に厚みがあるぞ、と思えないと、プレッシャーで押しつぶされそうになってしまいます。この学校で研究して、自分が1つやり遂げた、という核のようなものを築けたからこそなのかな、と感じています。
Q.GSSMでは、どんな研究をしていましたか?
A. 立本博文教授(経営戦略)のゼミで、イノベーションマネジメントに関する研究を行っています。実際には共同研究先であるNEDOから提供を受けたプロジェクトの追跡データを用いて、プロジェクト参加企業における研究開発がどう進展するかを解析するモデルを構築しています。
 佐藤忠彦先生(マーケティング)にご指導頂きながら、企業毎の違いを考慮しながら、その背後にある共通構造を探る階層ベイズモデルを用いた研究に取り組んでいます。このモデルは、マーケティングなど分野でも最近使われているとても手法ですが、イノベーション分野ではまだあまり使われていません。実際の解析では、NEDOの担当者の方々の直感を示唆するような傾向も捉えられてきつつあり、今後も共同研究を継続する方向でお話を進めて頂いています。
Q.研究を継続されるということは、博士課程に進まれるのですか?
A. はい、入学当初は考えていなかったのですが、私は修士の研究をしている時に、これはこのまま終えてしまったらもったいないな、と思いました。ですから博士課程に進み、共同研究も引き続き行う予定です。私だけではなく、入学時にはそこまでの進学を考えていなかった方も、ここに通うとやっぱり勉強を続けたい、と思われるようです。

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Q.研究をどう実際のビジネスに役立てたいとお考えですか?
A. 研究と言うよりも授業になってしまうのですが、企業内大学の企画・運営に際して、組織論、人的資源管理、人材育成論などの授業はかなり参考になりました。ガバナンスの授業で、企業の立場だけでなく、投資家や研究者など異なる立場の学生の方々とディスカッションしたことも印象に残っています。リスクマネジメントや人材という重要な経営資源を扱う業務を進める上で、財務会計、経営戦略論、ファイナンスなどの経営の基礎を学ぶことが出来たのは、本当に価値があったと感じています。
 また、GSSMで学び、修士研究に取り組む中で、自ら考える力や、知らないことを堂々と質問する力、短期間で一気に仕上げる力などが強化されたように思います。
Q.GSSMはどういった方にお勧めだと思いますか?
A. 問題意識がはっきりしている人、自分が成長したいと強く思っている人、あるいは学ぶことそのものを楽しめる人であれば得られるものが大きいと思います。万人にはおすすめできないかもしれませんが、、、私にとってはベストチョイスだったと感じています。同級生の方で「5年間あたためていました」と入学された方もいます。みなさんそれぞれのライフプランの中でのタイミングがあるのだと思います。
Q.受験を検討されている方に一言お願いします。
A. 学問、研究に対して真摯な先生方ばかりなので、学び、研究をするにはとても良い刺激的な環境です。期待に応えてくれる学校、求めればその分だけしっかりと返ってくる学校、だと思います。
本日は、長時間ありがとうございました。

 

(2018年3月取材)
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