※新組織改編前に作成した記事です

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友尻 小百合さん

  • 経営システム科学専攻

Q ふだんのお仕事内容について教えてください。
A  政府機関で外国企業の日本への投資の誘致を担当しています。
 具体的には海外でのプロモーション業務をしていて、世界各国で対日投資セミナーを開いて日本の投資環境の魅力やビジネス情報を外国企業に提供して、もっと日本に投資してくださいと呼び込む仕事です。
Q GSSMでどんな研究をされたのですか?
A  GSSMでは佐藤先生にご指導いただきました。研究テーマは『インド消費者の小売業態選択行動』についてです。インドの小売業態は、大きく分けると「キラナ」という地元の小売店、商店みたいなところと、スーパーマーケットのような組織小売業という2つに分けられます。その中でも消費者は「キラナ」をメインに使っていると言われているのですが、インド消費者がどういった心理メカニズムで2つの小売業態を使い分けているのかを明らかにする研究です。
Q どうしてインドだったのですか?
A  学生の時にインドを支援するNGOでインターンシップをしていて、ずっとインドに関わる仕事をしたいと思い就職先を決めました。
 インドの市場、特にインドの消費者は日本とは大きく異なり、その特徴を把握できていないことが市場参入の障壁になっているのではないかという問題意識から、今回の研究テーマを決めました。
Q もう少し具体的に研究内容を
お聞きしたいのですが、
インドの消費者の構造を把握するとは?
A  消費者の店舗に対する愛顧の状態を示す「ストア・パトロネージ」というマーケティングの概念を用いて、2業態それぞれについて、ストア・パトロネージがどういうメカニズムで形成されていくのか仮説を立てました。その上で、インド2都市で実施したインターネットアンケート調査結果に基づき、共分散構造分析という統計手法で分析し、仮説検証を行いました。
Q 研究を、実際のビジネスにどう役立てたいとお考えですか?
A  今の仕事は対日投資なのでちょうど逆なのですが、将来的にはインドに進出しようと考えている製造業、小売業の支援ができたらいいなと思っています。インドは日本企業にとってまだ理解しきれていない国です。
 小売業に限らず、消費者の行動やその背景にある心理メカニズムの把握ができない限りは、真の成功は難しいのではと思っています。今回の研究対象は、店舗選択という一部分ですが、将来的にはより広いテーマでインド消費者というものへの理解を深め、日本企業の海外展開支援に携わっていきたいです。修士論文の成果はより多くの方に読んでいただけるよう、学会誌に投稿しているところです。

 

Q GSSMに入る前に
マーケティングは学んでいたのですか?
A  いいえ、まったく。学生時代は法学部でした。それもここに入った動機のひとつで、もっと日本企業の海外展開、外国企業の誘致をするにあたって、もっと経営的な知識があったほうが有利な支援ができるのではないかと思ったのです。データ分析できるほうが説得力のある支援ができるのではないかと思っています。
Q 実際のビジネスと学びたいことが
合っていたのですね?
A  そうですね。特にここは研究を重視しているところなので、じっくり自分のやりたいテーマに沿って先生と研究を進めていけるというのは魅力的でした。
Q ここで学んだことは
会社で役立っていますか?
A  今は外国企業の誘致なので逆ではあるのですけど、でも、マーケティングだけでなく、会計とか経営戦略を学んだことは、外国企業が日本に投資する際の意思決定において、何を重要視しているとか、その方達と話すにあたって自分のバックグラウンドにある知識として役立っていると思います。

 

Q 仕事や私生活と研究のバランスをとる上で、
大変だったことは?
A  やっぱり時間がなかったことですね。仕事と学業とどっちもやっていたので、1年生の時は初めて経営学を学ぶということもあって、睡眠時間を削ってやっていました。
 夕方6時20分から週5で、来ていました。会社には学校に行く人は就業時間を30分前倒せる制度がありましたし、職場の人達は理解してくれて応援してくれたので恵まれていたと思います。
 火・水・木・金・土と授業があって、且つ、課題が毎回出るので、だいたい平日の朝にその日の課題をやって、夜は復習をしていました。朝の7時くらいには会社近くのカフェに行って、8時半に会社に行き、5時15分まで仕事をして、学校に行って、9時に授業が終わる、家に帰ってから復習して、寝て、と。日曜日は研究をやる、というような生活です。
Q いつ遊ぶんですか?
A  遊ぶ時間はM1はほとんどなかったですね。ただM2になると授業が少なくなるのでだいぶ余裕ができて、たまに飲み会に行ったり、日曜日に遊んだり、ラクになりました。
 M2になると、論文がありますが、追われる、という感じよりはじっくり考えるという感じです。1年目はいろいろ幅広く勉強します。基本は必修で単位をとらなくてはならないので、新しいことを勉強していろんな知識を身につけるのはM1のうちで、M2になったら自分のやりたいテーマに基づいていろんな本を読んだり、データをとるために仮説をたてたり、とか、先生とじっくり話し合ったりとか、そういう時間がメインになるので、気持ち的な余裕はM2のほうがありました。

 

Q なぜGSSMを志望したのですか?
A  仕事をして2年目だったので、お金もなくて、国立がいいなというのが大前提であって、プラス、ゆっくり研究ができるとうので「つくば」しかないな、と。
Q 試験は難しかったですか?
A  研究計画書を書くのは、はじめてだったので、大変でした。
Q 入る前と後では、ギャップはありましたか?
A  それほどなかったです。研究を重視する大学院だっていうのはHPでも打ち出していましたし、ふつうのMBAとは少しイメージが違うのかなと思って、入ってその通りでした。
 ディスカッションもするんですけど、それよりは入った年の初めから自分の研究計画をプレゼンして、先生にボコボコにされて・・・研究を重視するところだと分かっていたのですけど、思っていた以上に重視するところだった、というのはあるかもしれません。
Q こういう人は、ここに向いているよ
っていうのはありますか?
A  仕事で何かしら課題を抱えていて、それにじっくり取り組みたいと思っている人、特に実務の課題をアカデミックな観点から解決できたらいいなと思っている人にはバッチリな学校だと思います。
 私は、実際にやりたいことをテーマに論文が書けたので役に立っているんですけど、漠然とちょっとMBAで勉強したいという感じだともしかすると辛すぎるかもしれない。何かしら、これ!というのがないとテーマもなかなか絞れないですし、2年間そのテーマに取り組むのでかなり自分の時間を費やします。そのあたりを決めて入らないと難しいかもしれません。
 勉強はみなやる気があって入っているんですけど、勉強が得意というより、仕事熱心な人が多いなと感じました。自分の仕事に対して、真剣に取り組んでいて、本当に解決したいと思っている、それをプライベートな時間に食い込んでもやりたいという人が多いです。

   本日は、長時間ありがとうございました。

 

(2016年3月取材)

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