※新組織改編前に作成した記事です

世界で活躍できるリーダー像を描き出す
グローバルリーダーシップ・コンピテンシー

Hirohisa Nagai
永井 裕久 教授

ビジネスの世界で不可欠な「ヒト・モノ・カネ」のうちヒトに関わる部分が永井裕久教授の研究領域です。ビジネスのグローバル化が進み、母国以外の国で働くビジネスパーソンが増加している昨今、グローバルに活躍できるリーダーの育成は企業にとっても大きなテーマとなっています。永井教授は、世界の異なる地域においてリーダーに求められるコンピテンシーを長年研究しており、海外ビジネススクールなどでの指導経験も豊富です。博士課程では、「組織行動論」、「人材開発」の科目を担当。「組織行動論」では、リサーチメソッドなど基本的な手法を学び、「人材開発」では、グローバルリーダー育成のための研修プログラム構築など実践的な内容を学ぶことができます。

私の主な専門領域は、組織行動論です。この学問は、組織の中の人間行動について、行動科学的に分析する学問です。心理学、社会学、文化人類学なども含めた学際的アプローチから、組織内の人間行動を研究し、実務への適応を考える研究領域です。具体的には、リーダーシップ、モチベーション、パーソナリティ、組織ダイナミックスやチームパフォーマンスなどについて研究しています。また、特に関心をもっている研究テーマは、グローバルリーダーシップであり、これは海外派遣者のマネジメントやグローバルリーダーシップ・コンピテンシーなどについての研究です。グローバルリーダーシップ・コンピテンシーについては、海外に赴いて働くときに、どんな職務遂行能力が必要になるのかを探索的に研究してきており、リサーチユニットとしては、世界13カ国の国際比較を通して、各国で必要とされるコンピテンシーの構成やパフォーマンスが上がるコンピテンシーの要因などを研究しています。例えば、ニューヨークで高業績のグローバルマネジャーが、上海で同じ行動をとったからといって、同様のパフォーマンスを上げられるとは限りません。現地法人における文化的背景や組織環境、一緒に働く人とのコミュニケーションや対人関係の組み合わせによりパフォーマンスを規定する要素が変わるからです。このように、リーダーの職務遂行能力と、環境要因のどのような組み合わせが現地でハイパフォーマンスにつながるのかを研究しています。先ほどの13カ国の比較研究においては、日本以外の12カ国のビジネススクールとの共同研究で、各国のグローバルリーダーを調査しています。これは日本企業に役に立つインプリケーションを出すことはもちろんですが、各国でグローバルに活躍できる人材を育てていく、そのためにどんな能力要件、環境、制度が必要なのかを明らかにしていくことを目指しています。

博士課程での担当科目は「組織行動論」、「人材開発」です。「組織行動論」は、リサーチメソッド(定量分析、定性分析、面接法、ケーススタディなど)について、標準的なテキストとそのメソッドを用いて書かれた論文を教材にして、講義とディスカッションを交えて行っています。一方、「人材開発」は実務的なトレーニングメソッドについて、アカデミックな観点から、例えば、研修成果の測定、教育方法、グローバルリーダー育成のための研修プログラムの構築といった内容について解説しています。

博士課程の学生への指導方針としては、みなさん自立した研究者として自身の研究テーマを決めていますし、その内容は本人が一番理解しているわけですから、指導教員の役割は、伴走者として並走し、道に迷わないように、アドバイスすることだと考えています。社会人院生には、いままでやってきたことを活かして、実務でもアカデミックでも、どうフィードバックしていくのかを念頭において研究されると、研究領域と職務領域の相互関係をうまく機能させる、双方向に流出効果(spillover effect)があると思っています。また、社会人学生全般に言えることですが、仕事と家庭と研究の優先順位や時間を賢くマネジメントすることが重要だと思います。また、私自身は国際プロフェッショナル専攻と兼務していますので、同専攻との相互恩恵としては、国際的なネットワークが活用できることが挙げられます。海外の研究者との交流が図れますし、教員の海外調査に参加できるチャンスもあります。私自身は、英国、米国、フィリピン、中国、トルコ共和国の大学の客員教授を歴任しました。このような私の海外教育経験なども必要に応じてお伝えできるかと思います。

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