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松本 健さん

  • 株式会社リクルートライフスタイル
  • 経営システム科学専攻

Q.ふだん、どんなお仕事をされていますか?
A. リクルートライフスタイルのネットビジネス本部で働いています。役職はチーフストラテジックオフィサーです。2007年6月にリクルートに転職しました。
 リクルート入社後はインターネットマーケティング局で各事業(人材、結婚、旅行など)の分析やマーケティング活動のサポートを行っていました。その後、リクルートライフスタイルに異動後は、需要予測、競合分析、リコメンドエンジンの開発などに携わったりしました。入社して10年以上経ちますが、基本的には分析者(データサイエンティスト)としての仕事がほとんどです。
Q.いつ頃から社会人大学院に進もうと考えたのですか?
A. 私は消費者と繋がっているビジネスが好きだったので、大学での研究にはあまり興味がありませんでした。ただ、社内にはGSSMの卒業生が多いので、その人達から絶対にGSSMに進んだ方が良い、というのはずっと言われていました。行けるタイミングがあれば・・・と、なんとなく思ってはいましたから、それが最初のきっかけかもしれませんね。
 2007年にリクルートに転職してきた時、社内にはデータサイエンティストはいませんでした。そこからどんどん組織が大きくなって、若手の分析者が多く入ってくるようになりました。そうすると最近の流行の機械学習と、私が20年位前に勉強した内容に少し乖離がある、というのも感じ始めました。そういったことも受験を更に意識する一因になったと思います。
 でも一番のきっかけは、夏に出席したKDD(Knowledge Discovery and Data Mining)という機械学習やビッグデータの国際カンファレンスの基調講演です。基調講演で話されていた研究の苦労や成功のプロセスと、自分が企業で試行錯誤しつつ形にしていったプロジェクトの苦労と成功のプロセスが、ほぼ同じだったんです。今まで大学での勉強や研究はビジネスとかけ離れていると思っていましたが、その話を聞いて、自分がやっていることと同じじゃないか、と知ったんです。そこから本気で進学を考え、受験を決めました。

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Q.社内や上司、同僚への説明、理解してもらう努力はありましたか?
A. もともとGSSMに通っている同僚が多かったので、説明はしやすかったです。上司に入学を相談する時は、今のビジネス課題をテーマに研究をするので会社にとってもメリットがあるということを強く主張しました。
 実際に、日々の研究の中で得られた知見をすぐにビジネスに活用することが可能でしたし、研究内容だけでなく授業でならった手法やアイデアを自社データで実践してみて、その都度上司に報告をして大学院での研究のメリットをアピールする努力はしました。
Q.仕事と勉強、研究の両立にどんな工夫をされましたか?
A. リクルートは裁量労働制があるので、自分の中で時間のやりくりがしやすく、その点は助かりました。ただ、与えられたミッションが半年に1回決まるので、それに対しては今まで通りのアウトプットは出そうと自分の中で決めました。
 早朝、会社に出勤して夕方、GSSMヘ。帰宅後、その日のうちに宿題をこなしましたが睡眠時間は削られましたね。毎日多くの時間を仕事&勉強に費やしていた気がしますが、いったん大学に来ることで頭がリセットされ、大学後に会社に戻ると新しい1日の始まり的な感覚になり、辛いということはなかったです。ランナーズハイみたいな感じでしょうか。
Q.どの先生のゼミにするか、どのような視点で決めたのですか?
A. 佐藤忠彦先生のゼミで研究しましたが、入学後の所属面談では佐藤先生を含めて4人の先生に話を聞きに行きました。
 その際、自分の考えている課題を解決するための最適なアプローチは階層ベイズが当てはまりそうだという点、二年間終えた時にどの先生のゼミで研究するのが一番自分の統計モデルのスキルが伸びそうかという点、土日は育児のため、平日にゼミが行われるスケジュールである点、この3点から検討し佐藤先生のゼミに決めました。
 面談の際に一番解きたい課題に対してクリティカルな光を与えてくれたのが佐藤先生だと感じましたし、実際に二年間を終えて統計モデルのスキルは飛躍的に伸びたと思っています。
Q.GSSMでは、どんな研究をしていましたか?
A. 研究内容は、階層ベイズネスティッドロジットモデルによる旅行サイト予約行動メカニズムの解明です。顧客の旅行サイトで予約をする意思決定のメカニズムの解明と、広告施策を行った際にその広告効果を個人ごとに推定し、どんな属性の人がどれくらいの影響を受けるのかの解明を研究しました。いずれも社内のビジネスに活かせる内容ですし、社内データを使用して研究をしました。
Q.この後、博士課程に進まれるのですか?
A. はい、進みます。もともと二年の予定でしたので、最初から博士にいくか、とも考えたのですが、「横の繋がりが出来るから修士からいった方が良い」という意見があって、修士からにしました。結果的に修士からで良かったと思います。同期の繋がりや普段であれば絶対に関わらないような人達に出会えたというのは、自分の中で大きな財産になっています。また、最初は卒業単位分だけを取ろうかと考えていたのですが、授業内容も面白いものが多く、気が付いたら、ほぼ毎日大学に行って授業を受けている自分がいました。

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Q.ご家族の理解や協力はいかがでしたか?
A. 家族に迷惑をかけないよう、仕事と大学院生の生活を両立してきたつもりでしたが、子供と参加した雪国の野外体験で、自由行動が終わる少し前に息子から「まだ、終わりたくない。思い出をいっぱい作らなきゃ。」と言われハッとしました。仕事と学業にあてる時間の確保はできていましたが、家族のみんなとの時間が減ってしまっていて、子供達には寂しい思いをさせていたようです。その日は、集合時間ギリギリまで使って大きなかまくらを作りあげ、息子の嬉しそうな笑顔を見ることができました。
 この後も博士課程に進むことで、仕事と学業に時間を割り当てがちですが、それを理解し支えてくれる家族に感謝です。
Q.今現在、受験を検討される方に何を伝えたいですか?
A. データサイエンティストを目指す人には、「GSSMでは分析の本質、原理原則を叩き込まれる」と言えます。最近、採用面接をしていると、分析が出来ると言ってもツールが使えるだけで背後の理論が答えられない人が多い気がします。ツールが使えるだけだと他の人との差別化も出来ません。
 分析が上手くいかなかった時に本質に立ち戻ることをしないままだと、長期的に見ても上手くいかないことがたくさんあると思います。このGSSMにはその「分析の本質」を教えてくれる先生がたくさんいらっしゃいます。そして、分析の本質を今しっかり学んでおくことで、これから10年20年戦える人材になれるのだと私は思っています。
本日は、長時間ありがとうございました。

 

(2018年3月取材)