※新組織改編前に作成した記事です

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牧本直樹(教授)

研究に必要な数学の基礎を学ぶ「ビジネス数理」、そして「オペレーションズ・リサーチ」やファイナンス関連科目を担当する牧本直樹教授に、授業内容とゼミ生の研究などを話してもらいました。(インタビュー実施年月:2013年5月)

研究分野と担当科目について教えてください。

私の研究分野は、「ファイナンス」と「オペレーションズ・リサーチ」です。数理ファイナンスや金融時系列などのトピックがひとつのコアで、もうひとつの「オペレーションズ・リサーチ」では、確率モデルやシミュレーションなどを使った分析を行っています。修士課程では、基礎科目である「ビジネス数理」を担当しています。この科目は、さまざまなバックグラランドの学生に向けて数理モデルの機能や役割を教えています。他に、「金融リスク分析」では、ファイナンスに関するさまざまなリスク評価やリスク管理などの手法を教えています。リーマンショック以降、金融機関のリスク管理に対する規制が厳しくなっていますので、そういった関連トピックも取り上げています。また、「オペレーションズ・リサーチ」も担当しています。この科目では、オペレーションズ・リサーチの代表的な手法を紹介するとともに、オペレーションズ・リサーチを活用して大きな成果を挙げた企業の事例なども紹介しています。また、学生がシミュレーション用ソフトウェアCrystal Ballを用いてシミュレーションを行うなど、能動的なスタイルも取り入れています。博士課程では、「確率過程総論」「応用確率論」を担当しています。

ゼミに在籍しているのはどんな方ですか。

ゼミに所属している方は、ファイナンス関係者が8割くらいで、オペレーションリサーチなどファイナンス以外の方が2割程度になっています。また、事業会社の方も在籍しています。ゼミの教育方針としては、社会人学生が仕事の中で感じている問題意識や課題を尊重することを意識しています。一方で、修士論文の作成や博士課程への進学などを考えると、仕事上の問題意識だけでは研究として成り立たない部分もありますので、学生の問題意識に対して研究という形できちんとした結論を出すための橋渡しをいかにうまくやるかを考えています。修士論文はマンツーマンでの指導が基本です。修士2年生では平均して1~2週に1回のペースで実施しています。また、ゼミ生が集まった輪講も行っています。

ゼミ生はどんな研究をされているのですか。

ゼミ生の研究テーマは幅広く、その時々のビジネス環境や社会情勢によっても変わってきます。リスク管理では、バーゼル合意のように規制が変わるとそれに応じてテーマが変わりますし、最近ではHigh Frequency Trading(HFT)が市場に与える影響や、急速に増えてきたアルゴリズムトレーディングの執行戦略などもテーマとなっています。HFTの分析ではデータサイズも膨大になりますので、データをどう処理するかといった点も考える必要があります。ゼミ生の研究テーマが幅広いため指導はたいへんですが、研究について学生と議論することは楽しみでもあります。一口に金融といっても、銀行、証券、保険ではビジネスモデルが異なりますし、株式、債券、為替など市場もさまざまですから、テーマも当然変わってきます。最新の金融ビジネスについてゼミ生と話をすることは刺激にもなりますし、ときにはその中から新しい研究テーマが生まれることもあります。

指導においては配慮していることはありますか。

修士課程は2年間、博士課程はさらに長い期間をGSSMで過ごすわけですが、その一方で仕事のキャリアパスはそれ以上に長く続きますから、その中でGSSMで過ごす期間をどう位置づけるのか、どう将来のキャリアに展開していくのか、ということをよく考えてください、とアドバイスしています。つまり修士や博士の学位を取得することだけを目的とするのではなく、その過程を通してその後の人生のキャリアにどんなプラスをもたらすことができるのか、そのことを良く考えるよう伝えています。GSSMには30代前半で入学する方も多いのですが、“2年間勉強して修士をとって修了したら終わり”ではもったいないと思うのです。費用も時間も費やすわけですから、長期的なキャリアを意識して、勉強したり、ネットワークをつくったり、そうしたことも是非やって欲しいのです。私は理学部出身で、“今は流行っているかも知れないがすぐに忘れ去られるような寿命の短い研究はやるな”と教えられてきました。ですので、賞味期間の長い研究や勉強、人脈作りなどを身に着けて修了して欲しいと思っています。もちろん修了したからといってGSSMとの関係は終わるわけではなく、ゼミの修了生のなかには、修了後も輪講に参加したり共同研究を続けたりしている方もいます。

特にアピールしたいことはありますか。

ファイナンスを学べるビジネススクールは他にもありますが、GSSMは情報系のスタッフや講義、研究サポートが充実しているのが大きな強みだと思います。ファイナンスでもデータオリエンテッドな研究や実際の問題は増えてきていますので、情報技術と組み合わせて新しいファイナンスの分析ができるのは、研究を進める上でも大きなメリットだと思います。実際、そんなテーマで入学してくる学生は毎年います。また、社会人になると異業種の方と知り合うのはなかなか難しいと思いますが、GSSMはいろんな会社の人と知りあうことができ、世界が広がるのも大きな特徴だと思います。

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