数理最適化は限られた資源・膨大な情報の下で、
目的を達成するための必須の科学的手法

 現実の社会において利用可能な資源は有限です。一方、利用可能な情報は日々蓄積しています。このような状況の下で、資源を有効に活用する、あるいは膨大な情報から意味のある構造を抽出するといった目的を達成することは、だんだんと困難になってきています。伊豆永特任助教は、最適化問題とよばれる数理モデルを通して、複雑な状況の下で最適な意思決定を支援する研究を行っています。

 私の専門は、オペレーションズ・リサーチ(Operations Research: OR)という分野で、特に最適化問題と呼ばれる数理モデルに対するアルゴリズム設計を中心に研究を行っています。最適化問題とは、いくつかの候補の中から最良のものを見つける問題であり、実社会の様々な問題がこのような形に定式化できるため、最適化問題を解くことにより合理的な意思決定を支援することが可能となります。

 数理最適化の応用は広範囲に渡り、古くは工場における生産計画、施設配置、ファイナンスといったものから、近年では機械学習やデータマイニングなどの広い意味での人工知能分野の基盤技術としても注目を浴びています。このように様々な問題が最適化問題として定式化できることが知られていますが、一方でこれらの大部分が計算困難な問題群に属することが理論的に示されています。このような背景の下で、計算困難な最適化問題を現実的な時間で解くための効率的なアルゴリズムを設計することが、私の研究テーマです。

 GSSMでは、「ビジネス数理」と「機械学習と最適化」という講義を担当しています。「ビジネス数理」では、微分積分・線形代数・確率統計の基礎的な概念を説明します。この授業で扱う内容は、様々な分野の基盤となるものですので、知識を増やすことよりも論理的に考える能力や、数理的な概念をイメージできるようになることを目指します。理解を助けるために、できる限り定義や定理が、現実の事象をどのように抽出し表現しているのか、またどのように現実に利用され役にたっているのかを伝えることを心がけています。

 「機械学習と最適化」では、機械学習における代表的な手法が、どのような最適化問題として定式化されるのか、定式化された最適化問題の解を求める背景にどのような数理が隠れているのか、得られた解がどのような性質を持つのか、を中心に解説していきます。例えば、次元圧縮法である主成分分析は、分散共分散行列の固有ベクトルを求めることに帰着されますが、この背景には行列の対称性という数理的な構造が隠れています。手法の理論的な背景を知ることで、手法を適切に利用すること、結果を適切に解釈することを目指します。また、理論的な解説だけで無く、実際にPythonのライブラリを用いた演習も行います。

 私自身は特定の応用に限定せず、様々なテーマに取り組みたいと思いますので、皆さんの抱えているビジネス上の課題を数理的な立場から解決したいという方は、気軽に声をかけていただければと思います。一緒に考えていきましょう。