人間の意思決定からプラント制御まで
複雑な事象(システム)の因果関係を読み解く

ファジー理論、ラフ集合、ニューロコンピューティング、GA(遺伝的アルゴリズム)、感性データ解析などを駆使し、社会に存在する複雑な事象(システム)に関する解析手法の提案と実問題への適用に取り組んでいるのが、領家美奈准教授です。手法の適応範囲は、プラント制御、環境問題、マネージャーの知識獲得、消費者行動、意思決定システム、ファイナンス、伝統工芸品の評価など幅広く、さまざまな研究テーマを掲げた学生を対象にゼミや論文指導を行っています。
また、担当科目のひとつである「数量化手法」は、離散データ分析のためのアンケート企画から分析まで一連の流れを習得できるため、修士課程の学生も多く受講する人気科目となっています。

私の研究内容は、大規模かつ複雑な事象(システム)に対して、曖昧な情報をいかに利用して意思決定を支援していくかがテーマです。研究分野としては、知能情報学やソフトコンピューティング、感性情報処理と呼ばれています。基本的な研究姿勢としては、モデリングとシミュレーションのサイクルを回して意思決定の支援を行っていきます。GSSMは、さまざまなビジネス上の課題や問題意識をお持ちの社会人学生が在籍していますので、学生が持ってくる多彩な研究課題へと研究対象も広がってきています。その範囲は、プラント制御、電力自由化、ファイナンス系のデータ分析、マネージャーの知識獲得、伝統工芸品の感性評価など、じつにさまざまです。人間の活動からプラントの制御まで、インプットとアウトプットがある事象で、その間の要素が有機的につながっているものであれば研究対象になり得ます。研究業績のなかには、九谷焼や漆器、金沢金箔のような伝統工芸品を対象にした感性評価など、人間が頭のなかで何を評価しているのかを明らかにするような研究もあります。

博士課程での担当科目は「数量化手法」と「ソフトコンピューティング」を担当しています。どちらの科目もデータ解析手法の紹介を目的としており、非線形な構造を持つデータに対する分析に焦点を当てています。「数量化手法」は、ベーシックな内容でアンケート調査を通じて得られる離散データの分析手法を中心に紹介しています。グループ単位で、アンケート調査の企画、調査票の設計、実行・分析などを行っていただきます。分析業務を一通り経験できることが、この科目の特長です。学生からは収集データの前整理など泥臭い部分も経験できて良かった、といった感想が聞こえてきます。「ソフトコンピューティング」は、発展科目としてファジー集合やラフ集合など曖昧性を扱う理論に特化しています。具体的には、人間の回答のゆらぎや曖昧さをどのように活かして分析していくのか、そのための手法を紹介しています。こちらは輪読形式の授業です。使用文献は受講する学生の興味や専門知識のレベルにあわせて選択しています。どちらの科目も博士課程の学生だけではなく修士課程の学生も積極的に受講しています。分析に慣れていない方には難解に感じる部分もあると思いますので、感性評価など親しみやすい内容も織り交ぜながら講義を進めています。また、授業だけでは物足りない、もっと深く学びたい、といった方からの個別質問や個別ゼミにも対応しています。

指導している博士課程の社会人学生は、メーカーやインフラ系企業の方、官公庁の方など業界も幅広く研究テーマも多種多様です。「学生時代の研究を発展させたい」、「勤務先で持った課題を解決したい」といった方が多くいらしています。また、「職務とは別の課題を解決したい」と一念発起していらっしゃる方もいます。いずれにしてもご本人が持っている課題に対する動機付けの強さが研究の進捗に大きく影響しますし、そのためにはタイムマネジメントが重要になってきます。また、本コースには、さまざまな分野の教員が在籍していますので、研究発表などの場ではさまざまな角度からの質問が飛んできます。さらに、他の社会人学生から異なる背景に基づいたコメントもあり、ドギマギすることが他大学の学生よりも多くあるかもしれません。博士課程では課題の深堀も大切ですが、同時に他者の考えを取り入れて見聞を広げるといった、しなやかさもお持ちいただければ学生生活を実りの多いものとしていただけるのではないかと思っています。ぜひ本コースをご活用ください。