組織を経営組織論で
様々な観点からアプローチしていく

 みなさんは「自分らしさ」について考えたことがあるでしょうか。自分らしい服装、自分らしいキャリア、あるいはもっと大きく自分らしい生き方。誰でもこのようなことを考えてみたことがあるのではないでしょうか。会社組織にも、「自分らしさ」があるんです。

 実は組織にも、この「自分らしさ」に相当するような「自分たちらしさ」とでもいうべきものがあります。これを経営学では組織アイデンティティと呼んでいます。会社組織の場合、どのような製品を作っているのか、どのような顧客を相手にしているのかによって、その会社の性格は変わってきます。簡単な例で言えば、同じ自動車メーカーでも、主に軽自動車を作っているメーカーと高級スポーツカーを作っているメーカーとでは大きく性格が異なります。

 個人の場合と同じように、組織の振る舞いを考える場合にも、アイデンティティは重要です。みなさんが自分自身の振る舞いを振り返ってみても、意味もなく自分らしくないふるまいをすることは少ないのではないでしょうか。組織も同じです。意味もなく組織アイデンティティから外れるような戦略を立てることはありません。「自分たちらしさ」をしっかりと理解したうえで、それを生かすように戦略を立てることが大切です。そのため、組織が他のどのような組織をライバルと考えるか、そしてそれらのライバルとの競争に勝つために何をするのかを理解するうえでも「自分たちらしさ」について考えることは意味があるのです。

 このように、組織にとっての「自分たちらしさ」という一見当たり前のような見方からでも、組織についていろいろと考えることができます。

 担当している科目は「経営組織論」と「組織変革」です。経営組織論は、広く組織について考える学問です。組織は多様な側面を持っていますから、経営組織論にも様々な観点からのアプローチがあります。組織で働く個人に注目することもありますし、組織の形や組織間とのネットワークに注目することもあります。これらはどれかが優れているというものではなく、どれもが組織を理解するうえで重要なものです。

 「組織変革」も組織について扱うという意味では経営組織論の一部ともいえます。変革というと、組織を変化させる側面にばかり注目されがちですが、重要なのはそれだけではありません。もちろん変化するビジネス環境に合わせて変化していくことは重要ですが、環境の変化に流されるだけでは自分たちの強みを見失ってしまうことにもなりかねません。そのため、何を変え、何を変えないのかを意識して考えることも必要になります。

 組織を考えるうえでは、実際に組織に所属し働いた経験が大いに役立ちます。しかし、より広く多様な組織について理解するためには、自分の所属している組織を客観的に見てみることも大切です。

 みなさんも私も、今後も様々な形で組織とかかわりながら生きていくことになるでしょう。組織についての理解を深め、よりよい付き合い方をみなさんと一緒に考えていければと思います。