経営システム科学専攻のご紹介

経営システム科学専攻は、国立大学における有職社会人を対象とした最初の夜間大学院として、平成元年の発足から間もなく30年の節目を迎えます。その創設から今日に至るまで、「社会科学分野の研究テーマを有して入学する学生に、当専攻が提供する講義科目や研究指導を通じて学術的論理に基づく解決法を学習してもらい、それらに基づき研究し修士論文を完成させ現場に還元してもらう」という基本方針を一貫して維持してきました。

「学術研究」とは研究者の自由な発想と研究意欲を源泉として行われるある種の知的創造活動であり、研究者が自身でテーマを設定し、高度な論理的思考によって実現するものだといえます。その意味で学術研究は「実務とは別物」だと考える方が多いかもしれません。しかし、学術研究における問題の捉え方や解の導き方は、実務でも役に立つものだし、研究者でなくとも身につけるべき能力だと我々は考えています。

社会科学分野では、実務に内在する課題が研究テーマとなることが多いため、他の分野の研究に比べて実務と研究は近しい距離にあると考えられます。とはいえ両者に違いがあり、研究では「現象生起のメカニズム解明」に持つし、実務では「実務課題を解決するにはどうすればよいのか?」に興味を持つことになります。当然、両者のアプローチには違いがあります。今日、社会科学の研究では、「経験と直感に基づく主観的情報」と「異種・多次元・大規模な客観的情報」の存在を前提とし、それら情報を合理的で科学的な方法で融合し、新たな知見・示唆を獲得する枠組みが脚光を浴びています。この枠組みは実務でも活用可能であり、研究発想で実務課題に対する有効な示唆を導くには身につけるべきものだといえます。当専攻では、研究指導や講義を通じて上述した能力を育成すべく教育しています。

さらにもう1つ重要なことは、実務から派生する課題は学際的であり、1つの学問分野にきれいに納まるわけではない、ということです。学際性の高い課題に対する解を探求する上では、当専攻が提供する、「経営学的アプローチ」、「数理科学的アプローチ」および「情報・システム的アプローチ」を融合的に用いることが有効だと考えます。当専攻のカリキュラムでは、これらのアプローチに関連して「戦略・組織」、「マーケティング」、「会計」、「ファイナンス」、「オペレーションズ・マネジメント」、「統計」、「知識・情報 技術」、「システム・ソフトウェア開発」という8つの柱を設定し教育を実践しています。学生の方々は、これらの教育・研究領域における講義科目の中から自らの問題解決に必要なものを選び、場合によっては初歩から学んだ上で、最も適切と考えられる指導教員の下で研究に取り組みます。さらに、必ずしも同一でない専門領域をカバーする教員2名以上が副指導として研究をサポートするという、複数教員による研究指導を実施しております。このような研究や教育に対する体制の下、実務で生じる課題に対し適切な解を提示することを念頭に、当専攻では研究・教育に取り組んでおります。

専攻長 佐藤忠彦(Tadahiko Sato)